2006年10月20日(金)

福州にて (2号)

 宇野桂子
 10月に入りこちらも秋風がそよぎ始めました。気温は18〜29度とだいぶ涼しくなりましたが昼間はまだ半袖です。今が一番過ごしやすい時期だと思います。

▼ 国慶節と中秋節
 十月一日から七日まで国慶節の休みです。そして、六日は中秋節です。今年の中秋節はこの連休の中になり中国の人達はそれぞれ故郷に帰ったり親戚同志で中秋節を祝ったりで、忙しそうです。私はこの連休を静かに部屋で休養と授業の準備をしていました。けれども後半になっていろいろ誘いがあり夜の福州の街を歩いたり、食事に招待されたり、あわてて月餅を買いに行きました。中秋節には月餅をたべるのが習憤です。また、お世話になった人に差し上げることもします。招待して下さった一人は日本人で私と同じ学校の講師です。まだ若い三十代の女性、ご主人が中国人で地元のひとだそうで日本に十八年住んでいたとか、最近福州にかえってきて事業を始められたそうです。家は大きな高い最新式のマンションの三十階で眺めがたいへんすばらしいところです。おかげで満月を十分にみることができました。

▼ 授業
 さて、授業を始めて一か月が経ちました、早いようでまだそれくらいなのかとも思っています。生徒たちはだんだん猫かぶりから本性をあらわしてきました。私語、携滞電話など、爪の手入れや大あくびなど、或る女生徒のあくびがあまりにも大きく顔中あくびで、つい見とれてしまい目と目が会って思わず「吸い込まれそう」と言ってしまいました。でも彼女は平然として無表情、二人の生徒がくすっと笑いましたが、それからは、あくびには知らぬ顔します。九十分授業の問に十分の休憩があります。その間、職員室でお茶をのんで休みます。教室にもどると席が一、二空いて居る、「ここは?どうした?」と聞くと「え?はじめから居ません」というのです。そうかな?とおもいながら授業に入りました。
 生徒に何か答えさせる時は名簿で「三番の沈さん」というふうに指名します、すると「居ません、帰りました」何とやっぱり無断で帰ったのです。何ということでしょう。呑気者の私もショックを受げました。夫から電話があった時このことを言うと「すぐ、その場で小テストをすると良い」と言ってくれました。うん、なるほど。ほかの先生に脅ねてみるとやはり、そういうことは時々あるそうです。そんな時どうするのか聞いたら、どうもしない成績表で調整するとのこと。私だけではないことを知り安心しまた。
 生徒達は私のことを甘くみているなと思いました。連休明けからは、びっしりと遊べないような授業をしよう。この連休は、その対策を十分に考えておこう。頑張ります。

▼ マンション
 中国は今マツションが急速に建てられています。まだ建ってない内にも買い手が決まるという、人々は競争でマンションを購入しています。私の知り合いの中国人は今、立派な住まいがあるのに今度マンションを買ったそうです。で何時ひっ越されるのか尋ねると、まだ建っていない、建ちあがったら内装をしなければならない、中国はマンションは室だけで、内装間取り設備など全部、自分でしなければならない、それにもまたお金と日数がかかります。まだ、図面の時点でマンションが売り出され買い手が決まるという中国の現状に驚いています。
 買い物をするとき入念にその品を調べて買う、そんな中国の人が図面だけで高額のマンションを買う、なんだか私には理解できません。若い世代にもマンション購入が流行っていて、その支払いに毎月給料から多額の出費で生活が苦しくなったひとたちも多いそうです。マンションは設備がよく第一水まわりが良い古い家はトイレの改善もままならないのが現状です。だから、古い家は壊されてマンションが建てられていくのではないかと思います。