福州からの通信(第4号)
2006年12月25日   宇野桂子

 十二月の半ばに人り、今年もあとわずかになりました。皆様お変わりございませんか?私のほうは元気に過ごしております。十一月の末ごろから雨がふったり曇りの日が多く例年にない天候でした、このまま冬になるのかしらと不安でしたが、四日から晴れてきてお天気が戻りました。

▼ ピクニツク
 ある日、生徒さんから「景色の良い所へ行きませんか」S先生もいっしょに」と誘われました。何処へ行くのかわからないまま約束の日に家まで迎えに来てくれました。S先生は別に家族と車で行くとか。バスに乗り解放橋を渡ると、もう二人の生徒さんが待っていました。そこから皆でまた別のバスに乗って二十分ほどして降りました。目の前に見えたのは横に長い公園でした。みんじゃん(?江)公園といって最近できた公園です。(?江)という大きな河がありその河に沿うようにして造られた公園です。どこまで続いているのかと思うぐらい広くて、静かで車はもちろんバイクや自転車もいない安全なあそび場です。 子供を連れた人達や若いカップルなどゆっくりと散歩したり凧上げをしていました。結婚式の写真撮影もありました。こちらでは結婚式の前に衣装を着て写真撮影を済ませるのです。そして結婚式.でその写真を皆さんに披露します。 河の流れはゆるくどちらが川上か川下かわからない、向かい側の景色に人間が小さくみえるくらい幅が広いのです。湖のようです。昔は河の水が澄んでいて泳ぐことが出来たそうですが今は、それが出来ないようです。
 S先生は学校の同僚でまだ若い女性です。中国人のご主人と結婚し二人の子どもがいます。二人とも活発な子で公園のなかを走りまわって、生徒さん達と遊具であそんだりして、少しもじっとしていません。彼女と私は学校のこと、授業のことなど目本人同士おもいっきりしゃべりました。近頃、私語や携帯電話のメールが目立ってきた等話し相手ができてよかったなと思います。二時間ほど居て陽が陰ってきたので帰り、途中でS先生お宅へ皆でお邪魔してタ飯のカレーをご馳走になりました。久し振りに外の空気を吸って、楽しい一日でした。

▼ 小学生に日本語を
 この学校の或る女の先生から私に「娘に日本語を教えて欲しい」と王先生を通して頼まれました。はじめ私は中国語が出来ないので無理だとお断りしましたが英語の勉強を外国人に教えてもらったが、その人も中国語はぜんぜん話せないひとだったけれども、うまくいったとのこと、引き受けました。さっそくテキストを買いに街の本屋へ王先生と行き、日曜日の午後二時半から一時間という日程で約束しました。 はじめての日、どんな子だろうと半分緊張、半分うきうきしながら机や椅子の配置をなども変えながら待って居ました。 時間どおり両親に連れられて来た彼女は小学二年生、色の自い無邪気なかわいい子でした。まず、あいうえおから始めて、挨拶を教えました。なかなか勘のいい子のようで、挨拶はすぐ覚えました。休憩を十分とって勉強を続け一時間経ったころ彼女のおとうさんが、時間です、と合図しましたが休憩の十分をとりもどそうと思い、続けていると彼女はあくびやげっぷなどをし、これはもうやめなければと「はい、今日はこれでおわり」といってやめました。やはり一時問が適当です。帰るとき「ありがとうございます」と覚え立ての日本語でさっそくあいさつしてくれて、嬉しかったです。 その後も日曜日に、熱心に勉強に来ています。私もその方の教材や授業の準傭をしなけれぱならなくなり忙しくなりましたが、勉強した言葉を覚えてくれるので、やりがいがあります。日中友好のためにも頑張ります。

▼ 日本人奥様会
 S先生と知り合ってから日本人奥様会に仲間入りしました。福州に住んでいる日本人の奥様会で夫が中国人の奥様、企業の奥様など、先日、久し振りにタ食会がタイ料理のレストランで行われました。十二人の人があつまり、そのうち中国人の奥様は六人、企業は五人、私は??何でしょうおいしいタイ料理を食べながら話しがはずみました。特に中国人の奥様は子供の学校がいちばんの悩み、福州には日本人の学校がないのです。中国人と一緒の学校、家では日本語で話しているので子供は先生やクラスの子達の言うことがわからないとのこと。日本人の学校を設立して欲しいというのが切実な願いです。これは日本企業も協力するべきだと思います。

▼ 福州の交通事情
 福州では今、車がどんどん増えています。福州に限らず中国全体がそうなのかもしれません。伸一さん(わが夫)は二年前、福建省の外事弁公室主催の作文コンクールで福州の交通事情のことを書きました。それには「福州には、バス.乗用車・バイク・自転車そしてリヤカーなどが道いっばいに広がって走っている。よくあれで事故が起こらないなあと感心する。よく見ているとそれぞれの運転者は用心しながら、まわりの車に気を遣いながら走っている。歩行者も決してあせらず普通の速度で歩き、走らず止まらず上手に横断している。うまくいっている。だからこれ以上車が増えないことを望む」というようなことを書いていました。 今、福州は危険な状態です。ぜんぜ気遣いなど見られません。そこどけそこどけ車が通る、バイクが通る、プーーブーー、クラクションは鳴らしたいだけ鳴らし、まるで狂ったみたいに。そして自転車やバイクは、バス停で乗客が乗り降りしている中を、わずかなすき間に入り込んで走り抜けて行きます。これまた危険で迷惑なことです。バスの運転も乱暴です。私の宿舎のある遣は狭くてカーブが多く、坂道です。そこをスピードを上げて走るのですから乗っている方はたまりません。この運転手は何を怒っているのだろうと思わせるような運転でカープ、急停車、降りようとしたらまだ足がステップに残っているのにドアを閉める。過去に、衣服か手足をドアに挟まれてそのままバスが動きだし、車輸の下敷きになって亡くなった人もいたということです。それでも乱暴運転は改めないのだから困ったものです。唾や漢を道に吐き出すのは、命にかかわらないからまあ我慢しましょう。けれどもバス・バイク・自転車の運転者はもっと礼儀正しく歩行者優先にして欲しいです。(06・12・13)